黄泉のツガイの作者荒川弘!最新話のネタバレ・考察(1)

『鋼の錬金術師』や『銀の匙』の作者である荒川弘さんの最新作である『黄泉のツガイ』。
大好きです。毎回楽しみにワクワクしながら見ています。

長くなったので、分けました。30話以降は、最新話のネタバレ・考察(2)をご覧ください。

黄泉のツガイ(荒川弘)とは

『月刊少年ガンガン』で連載中の『黄泉のツガイ』は、2022年1月号から連載が始まった怪奇バトルファンタジー漫画。『全国書店員が選んだおすすめコミック2023』で第2位など多くの賞を獲得している。ふむふむ。
2024年4月の段階で『黄泉のツガイ』第6巻まで出ており、2024年5月11日に第7巻が発売され、2024年9月12日に第8巻が絶賛発売中となりました。(2024年9月25日修正)

『黄泉のツガイ』の物語は、とある山奥の村落に住む少年・ユルは狩りをしながらのんびり暮らしていたが、謎の武装集団に村を襲撃される。座敷牢で「おつとめ」をしている双子の妹・アサを守るために、ユルはアサのいる座敷牢へ向かう。
しかし、そこには自称本物の妹・アサがいて謎の力を使い、妹・アサを殺害。
混乱の中、ユルは村の守り神である「ツガイ」の左右様と契約をし、自称本物の妹・アサを追う所からから始まる。

作風は『鋼の錬金術師』に近いかな。命の倫理観は『銀の匙』かな。迫力のあるバトルシーンと軽快なギャグシーンが見どころ。本来、バトルものは得意としていない。避けるジャンル。しかし、『鋼の錬金術師』もそうなのだけど『黄泉のツガイ』はストーリーに引き込まれてバトルシーンが苦にならない。
ギャグはツボりますぅ。のっけから飛行機の音が龍の屁ときて、与謝野イワンが夜道のチカンと誤伝達される語呂の良さ。

でも、『黄泉のツガイ』は話が進めば進むほど、誰が味方で誰が敵かわからない!?

東村vs.影森家で話は進むのかといったら、ユルを守っていると思った東村の大人達がユルを殺そうとしていて、東村の刺客にアサは一度殺されちゃってる。ユルの居た東村を襲った影森家が、思惑はあるにしろ手厚くアサを守ってる。
最新話では、第三勢力らしきも現れてきたよ。展開が読めん。

しかも、主人公であるユルは、殺意に対しては迷わず返り討ちにする。死体は敵味方関係なく「疫病が流行る」から埋葬しちゃう。主人公の倫理観はどこ?

う〜ん。おもろい。気になる最新話。

 

 

黄泉のツガイ(荒川弘)ネタバレ・考察 第29話「影森兄弟と黒谷兄弟」(1)

(月刊少年ガンガン2024年5月号)
『黄泉のツガイ』第29話は、陰陽ちゃんの中でのユルとアサの会話から始まる。
怪我をしたユルを心配するアサが影森家に行こうとユルを誘う。が、影森家を信用していないとユルは拒否をする。
そこから影森3兄弟が、どのような人物かとユルがアサに尋ねて話が進む。

異母兄弟の影森3兄弟。
超尊い漫画を描く漫画家で長男の波久礼先生。アサに普通の生活ができるように技術とかを教えている。
笑みが胡散臭いアスマ。物騒な事を言うけれどアサ達に嘘はつかないという。
末っ子なのに一番老けて見えるジン。影森家を守るために自ら汚れ薬を買っており、誰にも感情移入をしないように仕事をこなしている。
と言うのが、アサから見た3人の人物像である。
それぞれ癖があり、バラバラで仲良くないと最初は見えたけど、話が進むにつれ影森家の兄弟として役割分担ができており、影森家当主のゴンゾウ中心に仲良く(?)繋がっていることがわかる。仲良いじゃん。
しかし、笑みの胡散臭いアスマがジンとも連携をとっていたなんて意外だったなぁ。荒川弘さん、さすがの展開。普通、あのポジションは絶対裏切り者だよなぁ。そう言う意味で裏切られたわ。

話は、過去の回想でアスマの母と影森ゴンゾウの出会いに進んでいく。この回想は、ゴンゾウが心広く優しく見えるのだが、「ツガイ連れは大歓迎だ」と言う言葉が意味深。アスマと違って爽やかな人好きのする笑みなのになんだか怖い。

黄泉のツガイ(荒川弘)ネタバレ・考察 第29話「影森兄弟と黒谷兄弟」(2)

(続き)
話は現在に戻り、人質として連れ出された東村の子供アザミの処置について話し合われる。村ではユルとアサの秘密を子供は知らずに大人になったら教えられる、という秘密を共有し結束を図っているため、アザミを村に戻すのは難しいと言う流れの中でのゴンゾウとデラの陰湿なやりとりがたまらない。
秘密の共有による結束を図るって、仲間意識を強めるために実際の生活でもあるよね。結束を強めるには共通の敵を作れば良いっていうくらいだもの。東村の場合、敵=「村の掟(秘密)を知らないもの」。狭い集団の中で生きていくために必要な太古からの知恵。

そこに、陰陽ちゃんから吐き出されたユルとアサが合流して、裏切り者のアキオの話に移る。アキオは与謝野イワンと繋がっていると予想された。
親のいない者同士が兄弟になって「家族」となった黒谷兄弟。血がつながらなくても繋がりが強い4人と思えたけれど、アキオは何か足りないと虚無感を持っていた。生まれつき痛覚異常で痛みを感じないアキオ。無敵であるが、自分の痛みがわからないだけでなく他人の痛みもわからない。
荒川弘さんの機微を表す人物の表情がとても好きなのだけれど、アキオの表情って無表情というか能面みたいに感じてたんだよね。そっか、痛みを感じないのか。
昔読んだ漫画でもあったなぁ。痛覚がない男の話。痛みがわからないから他人も自分も大切にせず、一人の人に固執し求め追い込まれていく話。(うろ覚え)
アキオも心の渇きを埋めるかのように何かを求め、闇に落ちていったのだろうか。

黄泉のツガイ(荒川弘)ネタバレ・考察 第28話「ザシキワラシと東村」(1)

(月刊少年ガンガン2024年4月号)
『黄泉のツガイ』第28話は、「ザシキワラシ」とユルとアサの両親の話。そして、ユルとアサが両親を取り戻す決意をする。殺意と共に...

偽アサの本当の名前は「キリ」。ツガイ「ザシキワラシ」の「ダンジ」の相棒。
先代田寺であるロウエイが、本尊に戻り忘れ去られていた「ザシキワラシ」を見つけ出し、山崩れで旦那と子供2人を亡くし心を病んで伏せっていたキョウカと契約させた。
それを見たヤマハおばぁが、元気になったら本丸にいる自分の元で働くように言う。キョウカが本丸で働き出した頃、ユルとアサの母であるナギサが東村に迷い込んできた。
下界に戻れないと知り落ち込んだナギサをユルとアサの父であるミネが気にかけ、しばらくしてユルとアサが生まれた。
ミネとナギサ、アサが東村から逃げた後、キョウカはヤマハおばぁに命じられて仕方無しにキリに偽アサを演じさせた。それとは別に、ヤマハおばぁに内緒でダンジにユルを守らせた。
その話を聞いた上で、ユルは偽物であったとしてもダンジとキリが心の支えでこれ以上ふたりを責められないとアサに言う。アサは、ザシキワラシとアサのユルと一緒にいた時間を比較し、どうしてもひっくり返せない、ずるいと言いながらもユルの言うことに納得する。
荒川弘さんの描く女の子はどこか憎めない。アサちゃんがどんどん可愛くなっている。兄様のユルに出会えたからかな。

黄泉のツガイ(荒川弘)ネタバレ・考察 第28話「ザシキワラシと東村」(2)

(続き)
ザシキワラシの話が落ち着いてから、ユルはアサに与謝野イワンが両親を切ったといっていた事を伝える。動揺するアサを自分の目で見るまで真実なと力強く言い落ち着かせ、自分たちの手で助け出し、四人で普通に暮らそうと言う。
26話で与謝野イワンの言葉に動揺したユルが、アサの「父様も母様も元気に生きている」と言う言葉で冷静さを取り戻したのに対し、今回はアサがユルの言葉で冷静になっている。二人はやはり双子、対である「ツガイ」。

やっぱり「ザシキワラシ」は優しいツガイだったんだな。よかった。「サシキワラシ」の主であるキョウカさんも優しい人。対して、腹黒ヤマハおばぁ。
ユルを兄様と呼ぶキリを威嚇する癖に、本当の姿に戻ったキリを見て思わずかわいいと言ってしまうアサ。本当にかわいい。ユルと過ごした時間のことで、ザシキワラシのふたり(?)にヤキモチを妬くの切ない。
そういう純粋さを持ちながら、だからこそ「大事な人の命を狙うものがいたら容赦はしない」と言うんだろうね。同じ心を持つから、ユルも頷くんだろうね。
だからこそ、殺意を含んだ決意をするんだろうね。
鋼の錬金術師では「もう誰も死んでほしくない」で、黄泉のツガイでは「殺意があれば容赦せず殺す」と、荒川弘さんは「大事な人」の「命」を表現している。主人公の性格や環境設定で異なっているのだが、どちらも大事な人の命を守るために子供なのに戦っている。自分は大人だけど自分を守ることしか考えてないよう。

しかし、笑いかけたらアザミに「やだー!この人笑い顔が胡散臭い〜!」と泣かれるアスマも切ない。笑ったけどな。

 

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